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2016/08/28

むかし祖父母の家に行くと曽祖父母はまだ生きていて、とくに曽祖母のほうが自分を可愛がってくれていた。かなり前のことなので自分が覚えているのは曽祖母と座敷で相撲をしたことと曽祖母と同じ布団で寝たことくらいだ。自分はまだ幼稚園に通っていた頃なので分別がなく、相撲をするときは一切の容赦なく勝ちに行っていたし、夜寝る時暑くてたまらないのにしきりに布団を掛けてくる曽祖母のことを鬱陶しく思ったりもした。曽祖母の部屋には古いラジカセがあって演歌のカセットを聞かせてもらったりした。今考えてみるとあの家で音楽が聴けるのはあの部屋だけだった。

それから数年後に祖父母の家は改築することになって、それまでの1階が2階の位置に持ち上がり、そこに車庫と倉庫が入った。雪国では冬の豪雪でも活動できるよう居住区を2階以降に構えることが多い。縁側と曽祖母の部屋は今はもうない。先の盆に数年ぶりにその家を訪れて、本棚が無く、音楽の流れないということに今更ながら気づいた。壁には遺影と従兄弟の習字が飾ってある。